広告の基本的な作成方法は、プロモーション戦略で書いてある「効果的なコミュニケーションのステップ」の流れになります。

また、広告を作成していく上で、クリエイティブ・ブリーフを用意し、携わるメンバーが共通の認識を持つと一貫性のある効果的な広告作成の補助になります。

クリエイティブ・ブリーフは簡単に言うとP:ポジショニングで説明したポジショニング・ステートメントをより詳細にした内容になります。主に以下の項目を明確にしていきます。

クリエイティブ・ブリーフ

主に以下の項目を明確にしていきます。

①広告の目的

広告によって何を達成させたいか?などの目的になります。また漠然とした大きな目的ではなく「何をどの程度でどのくらいの期間で」など詳細にしていく事で、それに達成するまでのプロセスがはっきりとしてきます。

②競合商品について

競合他社をリサーチし、その会社の商品広告とかぶりや類似的な表現を避けなければ、消費者からは「同じようなもの」と判断されてしまいます。

③競合商品に対するこの商品の優位点

他社との「違い」はなにか?消費者が商品、サービスによって何が可能になるのか?などを明確にしまとめていきます。

④裏づけ

③の他社との違いやベネフィットの裏付けるとなる根拠は何か?をはっきりとさせていきます。

⑤広告のターゲット(標的視聴者)

訴求対象となる消費者は?を明確にしていきます。

⑥ターゲットが製品、サービスにいだいている現在の感情

製品、サービスをどのように思っているのか?感じているのか?などになります。ただし新商品などでは認知されていないので、どのように認知させていくかが必要になります。

⑦広告効果によって、期待されるターゲットの反応

広告によりターゲットからどのような反応を得たいのか?になります。例えば「認知してもらう」であったとしても、雰囲気や使用シーン、あるいは季節感などさまざまなイメージが付加された認知まで掘り下げることで、伝えたいメッセージのニュアンスが変わってきます。

⑧広告が伝える主要となるメッセージ(プロポジション)

一番伝えたえたい主張をメッセージ化していきます。

⑨トーン&マナーの統一

トーン&マナーは簡単に説明すると、広告の目的、メッセージや論調と広告の文章や色使い、雰囲気、イメージが違和感のないように統一させることです。それを踏まえた上で広告についての説明をしていきます。

広告作成のステップ

広告を作成していく上で、主に「5つのM」を決定していく事のなります。

広告計画5つのM

①ミッション:広告の目標設定

訴求対象は?また、どのように伝達するか?広告の効果による売り上げ目標は?など、広告の「目的」は何なのかを明らかにし設定していきます。主にターゲティング、ポジショニングや他もマーケティングミックス、購買行動や習慣、製品ライフサイクル、製品の特性を十分に検討し考案していきます。

②マネー:広告の予算設定

訴求対象や目標、目的が明確になったら、広告を作成していくための予算を設定していきます。また、予算設定する際にいくつかの考慮する要素があります。

1)製品ライフサイクルの段階

製品ライフサイクルにおいて、特に導入期など新製品では、消費者の認知と試用を促進させるため比較的予算を充てる必要が出てきます。

2)市場シェアと消費者基盤

すでに市場シェアと高いブランドを持っていれば、広告費の割合は小さくて済みますが、シェアの拡大を図る場合広告費は増大する可能性が出てきます。

3)競争と氾濫(はんらん)

市場の競争が激しく、他社が広告費に巨額を投じている場合や広告が氾濫している場合、自社の製品、ブランドを認知してもらうため多額の広告費が必要になります。

4)広告のフリークエンシー

フリークエンシー
消費者に製品、ブランド、メッセージを認知、理解してもらうには何度も繰り返し広告を出す、見せる必要があるので、広告の数や期間によって費用に影響を与えます。

5)製品の代替性

製品に差別化ポイントがあまりなくコモディティ化している場合は特に、あるいは独自の強みがある場合においても、イメージ的に差別化を図るため、広告に力を入れる必要があります。

プロモーション戦略で説明した
「⑤マーケティング・コミュニケーションの総予算設定の方法」などを用いられます。

③メッセージ:広告で伝える言葉の設定

ここでは、製品、サービスを、どのようなメッセージで消費者に訴求していくかを考察していきます。プロモーション戦略で説明した「③コミュニケーションの設計」のメッセージ戦略、クリエイティブ戦略を活用すると設定しやすくなります。

また、メッセージの決定する際、明らかに根拠がないにもかかわらず、効果、効用があるよう見せかけるなどの容認の範囲を超えた誇張、誇大をしないなど社会的責任を考慮しなくてはいけません。

④メディア:広告媒体の選択

メッセージを選択したら、メッセージを伝えるメディア(媒体)を選択していき、いくつを選択し有効なメディアを組み合わせていく事をメディア・ミックスと言います。

主に決定、選択していく項目は以下になります。

1)メディア・ミックスの決定

広告媒体を選択、組み合わせ決定していきます。主な種類は、プロモーション戦略のマーケティング・コミュニケーションの種類と法方があります。

2)メディア・ビークルの決定

メディア・ビークルは簡単に説明すると、媒体をさらに細かく分け具体的にした伝達用の個別媒体になります。

下記の図で説明すると赤枠も部分で、例えばテレビ媒体で広告を出すと決定した場合、「どのテレビ局のどの番組の合間でどんな内容で・・・」などを具体的化させていきます。

ビークル

3)メディアのタイミングと配分の決定

効果的なパターンにするには、製品の特性や標的顧客、流通チャネル、あるいは時期、季節など格マーケティングの要素とコミュニケーションの目的の関係性によって異なってきます。またタイミングとパターンを決定するには3つの要素を考慮する必要があります。

1)顧客回転率
飲食店などでもよく使われる言葉ですが、分かりやすくいうと新しい購入者が市場に入ってくる比率になります。この比率が高い広告の場合は、より多くの視聴者に認知してもらうため連続的に広告を行うことが有効になります。

2)購入頻度
一定期間内に購入者が製品を購入する頻度になります。購入頻度が高いのであれば、今後も連続的に広告を行うことが有効になります。

3)忘却率
購入者が製品、サービス、ブランドを忘れていく比率になります。もしもインパクトが弱く視聴者の印象にあまり残らない広告だったら出稿頻度を上げ連続的に広告を行う必要があります。

広告を出す方法

また、広告を出すタイミングとパターンにはいくつかの方法があります。

1)集中的

一定期間内の中で、一回あるいは一日だけに全広告費を投入して集中的に行います。この方法は販売期間が限定的であったり、先着、数量限定、先行販売などの場合に有効になります。

2)連続的

一定期間内で、広告費を配分し広告を連続的に行い露出させていきます。この方法は認知度を高める、購入頻度が高い場合製品、サービス、市場が拡大あるいは大きくまた競合が多くいる場合など有効になります。

3)断続的

一定期間内で、休止期間を設け断続的に広告を行います。広告費を多くかけられない、購入頻度があまり高くなく季節的なものなどの場合は断続的に行うことが多くあります。

4)波状的

低水準の広告を維持しながら定期的に広告を補強していき、最も重要な部分を波状的に広告していきます。広告費を抑えながらメッセージの重要部分を伝え、認知させていく場合などでは有効になります。

また、上記の方法で、広告のペースを一定的にするか、上昇(増やす)させていくか、下降(減らす)させていくか、変動的にするかなど、反応を確認しながら試行錯誤し決定、調整をしていくことになります。

広告配分

なお、メディアを選択、設計していくにあたり以下の項目を留意していきます。

これらを留意する

【1】リーチ(到達率)
特定の期間内に全体の視聴者の内、何人が見たかを表す指標になります。

リーチ

この場合、革新的な製品、サービスであったり、一目で視聴者に内容が伝わる、あるいは注目を集める事が出来る広告であればリーチを高めていく事が出来ます。

例えば、期間限定のキャンペーンや先着がある広告など、瞬発的に視聴者の行動を促すことが出来たりもします。

 

【2】フリークエンシー(露出回数)
特定の期間内に特定の視聴者が、何回広告を見たのかを表す指標になります。

フリークエンシー

フリークエンシーの指標が高い広告の場合、同じ視聴者が何度も繰り返し視聴するという事なので、その視聴者は広告の製品、サービスへ高い興味があると考えられます。

また、一度ではなかなか伝えきれない場合や、繰り返し視聴されることで興味、認知させる場合などではフリークエンシーは重要になってきます。

【3】インパクトとクリエイティブ
インパクトは、特定のメディアを通じたメッセージ露出の質的価値のことです。

少し分かりにくいかもしれませんが、例えば本類では「参考書」よりも「日常の豆知識の本」のほうが、インパクトが大きいと判断できます。

つまり、視聴者が「お!」となるようなインパクトを与えられる範囲や深さとも言えます。

クリエイティブは、広告に使用するために作成される広告素材全般のこと指します。

例えば、イラスト、画像、音声なども含み、またインターネット広告の場合では、バナー広告などに使用される画像などになります。

また、たとえ同じ様な素材を使用したとしても、作成者のセンスであったり、ユーモアであったり、考え方であったり・・・さまざまな事柄で視聴者に与える印象が異なってきます。

なので、クリエイティブは形式的なことではなく、アーティスティックであるといえます。

以上のどれかを重視していくというよりも、各要素を組み合わせていく事が重要になり、これらの要素が高ければ視聴者の認知水準も高くなっていきます。

参考までにヤフートップページの右上にある広告のリーチ(インターネット広告到達率)は、10人に3人の割合で、30.6%が広告を認知されていて、

また、キャンペーン内容やタレント、リッチ素材等(通常の広告に音声や動画などを付加したもの)の活用効果では、6割以上の広告認知を獲得することが可能とされています。

*詳しく知りたい方はYAHOOの調査レポート一覧で見れます。

*参考になると思いますので、画像検索で「広告 クリエイティブ」を検索してみてください。

【3】GRP(グロス・レイティング・ポイント)
これは、リーチに平均フリークエンシーを乗じたものになります。(リーチ×平均フリークエンシー=GRP)

広告出稿後にGRPを測定する場合、例えばリーチが20%でフリークエンシーが5回だったとしたら、

20×5=100なので、GRPは100という事になります。

テレビCMの場合で例えると、もし番組間にCMを10本入れたとし視聴率が18%だったとしたら、

リーチが18、フリーク・エンシー10なので、18×10=180になります。

また、広告出稿前の計画段階のとき、目標のGRPが1500で視聴率が18%の番組だとしたら、

1500÷18=83.33・・なのでおよそ83本のCMが必要という事になります。

もし、1本あたりの広告費が15万だったとしたら、

15×83=1245なのでトータルコストは1245万円かかる事になります。

⑤メジャメント(測量、測定と評価):広告効果の評価

広告効果の測定は、広告が効果的に伝達できているのかのコミュニケーション効果と広告の売上への効果を調査します。

1)コミュニケーション効果の調査

これは「コピー・テスト」と呼ばれ、コミュニケーションがどの程度達成できたかを調査します。またコピー・テストは広告を媒体に載せる前(未完成の広告)の事前テストと後(完成した広告)に行う事後テストがあります。いくつかの方法がありますが、主に3つの方法を説明します。

【1】消費者フィードバック法
この方法は、消費者やアンケート・モニターに広告を見せ広告の視聴者の反応を尋ねます。例えば以下のような質問をしていきます。

「この広告の、主要なメッセージは何ですか?」

「この広告を見て、どう感じたか?」

「製品、サービスを利用したいと思うか?」

など、知りたいことを尋ね解答してもらい、その結果によって広告の改善ポイントを探っていきます。

【2】ポートフォリオ・テスト
この方法は、消費者に広告のサンプルを視聴してもらい、その後広告の内容を思い出してもらいます。どれだけ思い出せたかで広告のインパクト、メッセージが理解されているかなどを計ることが出来ます。

【3】ラボ・テスト
これは実験的なテストで、視聴者の心拍、血圧、瞳孔の広がり、脳波、発汗などの生理現象を測定や様々な広告を連続的に見てもらい、気に入ったり興味を感じた時にスイッチを押してもらうなどの方法になります。

ただし、この方法では広告の注意喚起力を測定できますが、信念、態度、意図などに対する効果の測定はできません。

2)売上効果の測定

広告が売り上げへどの程度効果があったかの売上効果の測定を行いますが、これは上記で説明したコミュニケーション効果よりも難しいものになります。理由として売上は広告の効果だけではなく、様々な要因に影響されるからです。

例えば、製品、サービスの特性や価格、季節や市場環境、競合他社や政治、経済環境など様々な要因から消費者の行動も変化します。なので売上効果の測定の「ベストな方法」というよりは「ベターな方法」で測っていく考え方に近いと思います。

その中で主な方法として、以下のものがあります。

1)競合他社と比較

競合他社と比較し自社の広告費が過剰であるか、あるいは不足であるかを測定します。これは広告費のシェアが最終的に市場全体のシェアに影響を与えるという考えで「広告費シェア」は「ボイス・シェア」を生み「マインド・シェア」と「ハート・シェア」を獲得し、最終的には「市場シェア」をもたらすとされています。

なので、他社との広告費を比較し自社の広告効果を測り効果を測るという訳です。以下の順に相対的に連動している事になります。

【1】広告費シェア

特定の製品、サービスの市場において、自社の広告費がどの程度の比率にある(高いか、適正か、低いか)かになります。

広告費シェア(例)
広告費シェアの計算

【2】ボイス・シェア(シェア・オブ・ボイス)

ある製品、サービスについての広告総数に対し、自社の広告が占める比率になります。

ボイスシェア例 (2)
ボイスシェア例 (1)

【3】マインド・シェア

消費者の心(マインド)の中で製品、サービス、ブランド、企業名などが占めるの割合、認知度になります。

例えば「タブレット端末といえば○○」「○○といえば、タブレット端末」や「掃除機といえば、○○」「○○といえば、掃除機」などのように、一番最初に一番多く起想される○○がマインド・シェア№1ということになります。

ただしマインド・シェアはプラスイメージだけとは限らず、ネガティブイメージの場合もあります。例えば「○○は、食品偽装」など、悪いイメージでシェア№1になってしまう事もあります。

良い意味でも悪い意味でも強いインパクトは、消費者の心(マインド)の中に強いイメージをつくり、一度付いたイメージは粘着性が高くその後も長く定着します。

【4】ハート・シェア

ハート・シェアは製品、サービスに対し良いと感じているか、あるいは購入したいと思っているかなどの「心」を掴んでいるかどうかの割合で、言い換えれば「高感度」になります。

【5】市場シェア(マーケット・シェア)

特定の製品、サービス市場において占める割合で、市場占有率になります。

広告ページの基本的な構成

主な広告の構成として、下図の構成がよく利用されます。
コピー戦略

①ヘッドライン、キャッチコピー

・情報型アピール(詳しくはプロモーション戦略で説明しています)

・変容型アピール

②サブヘッドライン、副見出し

・ヘッドライン、キャッチコピーの補助的な内容

③ボディーコピー

・商品、サービスの詳細

・商品、サービスによって得られるベネフィット

④クロージング、締めくくり

・1,2,3のまとめ

・保障性

・限定性、希少性、緊急性

・特典

上記の内容は一例なので必ずという訳ではありませんが、セールスレターの基本的な構成内容です。

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