マーケティング・マネジメントの教科書

【マーケティング】製品戦略で考える基本的な事柄「1.製品の基本概念編」

まず「製品」と言っても様々な「モノ」があり、有形のものから無形のもまで様々です。

例としてサービス、経験、イベント、場所(貸し会議室やイベント会場など)、人(人材派遣、タレントなど)、資産、権利、組織、情報、知識、アイデア、などなど・・・

市場で人のニーズ、ウォンツに応え、提供されるものであれば、 全てが、「製品」となり得る事になります。

どのような市場提供物を企画するかは、製品を扱うかによって「製品」に求められるベネフィットが異なるので、それに応じたマーケティング・ミックスを構成していく事になります。

まずは、「製品」の基本的概念やレベル階級を説明します。

製品の基本概念

製品概念は、主に三層構造で形成されています。

①製品の核

製品、サービスにおける根本的なベネフィットになります。

例えば空気清浄機であれば、それにより得られる「キレイな空気」になります。

②製品の形態

消費者が、ベネフィットを知覚できるために表した形態になります。製品の特性は主に、特徴、スタイル、ブランド名(ネーミング)、パッケージ、品質などになります。

③製品の付随機能

付随的に提供されるべネヒットになります。保障、アフター・ケア、サポート、配送、取り付け、交換などがあります。

つまり、付随されるベネフィットは、購入後、商品、サービスに対しての「安心感」であったり「期待感」などなど・・・様々なものです。

顧客価値ヒエラルキー

また、基本的概念を拡張し、製品レベルを基準とした「顧客価値ヒエラルキー」があり、製品レベルの焦点は、主に下記の5つのレベルで検討されます。市場状況やポジショニングを踏まえた上で、外に広がる「製品」ほど顧客価値も高くなっていきます。

①中核ベネフィット

最も基本的なレベルで、消費者や顧客が手に入れらる基本的なベネフィットになります。

例えば、空気清浄機を購入する消費者は「空気清浄機」が欲しいのではなく「キレイな空気」が欲しく購入していると言う事になります。

この、基本的なレベルの中核ベネフィットを中心とし、価値レベルを高めていく事になります。「基本概念」の製品の核にあたります。

②基本製品

第二のレベルでは「キレイな空気」にする最低限の機能を備えている事が必要になります。

ホコリ、臭いをろ過、吸着する脱臭ろ過材、ホコリを吸う吸引ファン、それらの機能を動かすための始動、停止スイッチなど当たり前の機能は備えているなどになり、最低限のレベルで「製品の形態」が含まれています。

③期待製品

第三のレベルでは、購入者が製品、サービスを購入した時に、通常期待するレベル、条件を備えている事です。

②の基本製品が機能する、誤作動が起きない、設置が難しくない、音がうるさすぎないなど、購入時想定内の期待になり、基本的レベルで「製品の形態」が含まれています。

④膨張製品

第四のレベルは、購入者の期待を上回る製品になり「製品の形態」が消費者の期待より高い状態、また「製品の付随機能」も含んでいます。

先進国の競争やポジショニング、差別化は、最低でもこのレベルで起きています。発展途上国や新興国市場の競争「製品」は、ほとんど③の期待製品レベルで起こっている事が多いとされています。

また、膨張製品レベルでは日々競争が起きているので、他社も後に続いて模倣、改良をし市場に参加してきます。なので期待を上回るベネフィットも時間とともに、③の期待製品レベルのベネフィットとなってしまい類似点連想とみなされてしまう事になるので、

さらなるベネフィットの模索、あるいは、革新的に引きつける「ブランド価値」を築く必要があります。

⑤潜在製品

第五レベルでは、提供物に対し将来的に起こる可能性のあるベネフィットになり「製品の付随機能」も一部含む事になります。このレベルでは消費者や顧客を満足させ、自社ブランド、提供物を特徴づける新たな方法を模索していきます。

例えば、パワフルな空気清浄機だった場合「音がうるさい」「消費電力が大きい」「大型でメンテナンスが大変」などの問題点やイメージを持たれやすいでしょう。

なので将来的に、同等、あるいは同等以上な清浄能力がある上で、今よりも省エネでCO2の排出を抑えたエコロジカルなものであり、小型でスペースをとらず、メンテナンスの手間を取らせない、赤ちゃんが、隣で眠れるくらい静かで快適な空気清浄機。

「強力かつ静か、さらに消費電力は○○以下、コンパクトなデザインで手間いらずな○○の空気清浄機」を将来提供できる。

あるいは、パソコン、アプリ、OS、PCセキュリティーなどでは「購入製品をその後、バージョン・アップできる」など、近未来、起こり得る膨張製品をうちだし、それらが、ニーズやウォンツを満たすモノであれば、ブランドの認知度、期待、価値、信頼など得られる事も可能になります。

ただし、企業側はそれらを「可能にする」と言う事が前提条件です。

以上のように「製品」の企画あるいは、提供する上で考えなくてはいけない事は「現在のベネフィット」「未来のベネフィット」であり、消費者は、それらを購入すると言う事です。

製品の分類

主に、分類の考え方には耐久性、有形性、用途があります。耐久性、有形性は、どのような性質を含んでいるかと言った考え方で、用途は、どのような使用方法なのかと言った考え方になります。

耐久性と有形性には、主に3つのグループに分けられます。

①非耐久財

食料品や洗剤などのような、一度、あるいは数回程度の短期間で消費される有形物(商品)の消耗全般を含みます。

②耐久財

冷蔵庫、テレビ、工業機械、衣料品など、長期間にわたり繰り返し使用する事が出来る有形物(商品)全般になります。

③サービス

形として存在せず無形なものになり、サービスの特性には、変動性:サービス提供者によって、質が変動してしまい、常に一定的ではない事消滅性:サービス提供は、一過性の要素が多いと言う事を含んでいます。

少し説明すると、美容室、マッサージ、医療機関など価格が同じだったとしても、人によって技量に差があったり、知識レベルが違ったりします。そしてサービスは提供された時に完結する特性を含んでいます。美容室なら髪を切った時に終わり、マッサージや医療は施術された時に終わります。

また、サービスには2つの種類に分かれます。

1)主体的なサービス

サービスそのものが商品として成り立っているサービスで、美容室などサービスそのものが事業として成り立っているサービス業の事になります。

2)付随的なサービス

商品や主体的なサービスに対し、付随する付加サービスの事で、アフター・サービスやビフォア・サービスになります。

ビフォア・サービスは、保険、不動産、資産運用などで多くみられる、無料相談、無料診断など、また、試供品やサンプル商品も含んでいます。アフター・サービスは商品、サービスの購入後に行われる、サポート、保障、修理などのアフター・ケアなどになります。

 

次に、用途の考え方には、生産財、消費財に大分けられ、さらに細かく分けると以下の様に考えられます。

①消費財

消費財には以下の4つものに分類されます。

1)最寄品

トイレットペパー、歯ブラシ、シャンプーなど、消費者が購入時に品質や価格に対し比較、検討の労力や時間を費やさない商品で、分かり易く言えば日用品などになります。購買頻度は高く、一定的に購入されます。

2)買回品

消費者が購入する時に、適合性、品質、価格、スタイル、デザイン、価格など、十分に比較、検討する商品、サービスになり、例えば、電化製品、衣料品、車、などが含まれます。

3)専門品

消費者が購入する時、時間、特別な労力、努力をしてでも、手間暇を惜しまず購入する商品、サービスになります。

「製品」の特性としては、独自のブランド力が高く特徴的などがあります。並んででも食べたい「ラーメン店」や遠方からでも購入しに行きたい「ブランド品」などで、消費者やユーザーは、比較、検討などの過程ではなく、その「ブランド」だから購入にいたると言う事です。

4)非探索品

消費者が商品、サービス自体を知らなかったり、あるいは知っていても探し求めたりするに至らない「製品」になり、例えば、百科事典、墓石、保険、仏壇などが典型的です。

②生産財

生産財には大きく「材料・部品」「資本財」「設備・対事業者サービス」3つに分類されその中でさらに分類されます。

1)材料・部品

メーカー、製造業者などの製品の一部や使用するモノ全般になります。

細かく分けると下記の様な分類をされます。材料・部品には、「原材料」「加工材料・部品」の2つに大分されます。原材料の中には「農畜産物」「天然産物」に分けられます。加工材料・部品の中には「構成材料」「構成部品」に分けられます。

原材料

1)農畜産物
小麦、綿、家畜、果物、野菜など

2)天然産物
魚、木材、原油、鉄鉱石など

加工材料・部品

1)構成材料
鉄、糸、セメント、ワイヤーなど

2)構成部品
タイヤ、小型モーターなど

2)資本財

資本財は、寿命が長く最終製品の開発、管理などに利用されるモノになり、以下の2つに分けられます。

資本財

1」装置
装置には、建物(工場、事務所など)と固定設備(発電機、エレベーター、大型コンピューターなど)になります。

2」付帯設備
付帯設備には、移動可能な工場設備と工具類、事務設備品(デスク、パソコンなど)になります。

3)設備・対事業所サービス

寿命が短い物品、サービスになり、以下に分けられます。設備・対事業所サービスの設備には「メンテナンス・修理」「産業用備品」があり、対事業所サービスには「メンテナンス・修理サービス」「ビジネス・アドバイザリー・サービス」に分けられる。

設備

1)メンテナンス・修理用品
ペンキ、釘、ネジ、掃除用具など
2)産業用備品
潤滑油(工業用油)、石炭、木炭、紙、ペン類など

対事業所サービス

1)メンテナンス・修理サービス
ビルなど窓の掃除、コピー機、オフィス機器の修理など

2)ビジネス・アドバイザリー・サービス
法律、経営コンサルティング、広告など

製品戦略で考える基本的な事柄 2.製品コンセプト編

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